仕事でトラブルが重なり、久々の更新になりますが、今回はテントの記事になります。
テントの種類
テントは大きく分けて、ロッジ型・ドーム型に分けられます。
また、ツェルトという簡易テントもあります。
種類毎の特徴は以下になります。
ロッジ型 | ドーム型 | ツェルト | |
用途 | 固定キャンプ | 固定・移動キャンプ | 緊急ビバーク |
収容人数 | 大人数 | 中~小人数 | ソロ |
大きさ | 大きい | 中~小さい | 極小 |
重さ | 重い | 軽い | 極軽い |
快適性 | 色々な装備あり | 快適 | 蒸れる、雨の侵入 |
雨の強さ | 普通 | 強い | 弱い |
移動キャンプを行う場合、テントを担ぎながら登山するので、「軽く小さい」というのがとても重要になります。軽い程、体力の消耗を抑えることができ、快適な登山になります。また、体力の消耗を抑えるということは、遭難のリスク回避に繋がります。
ロッジ型は車での移動を前提としており、オートキャンプなどでは使われますが、担ぎながら登山するのには向いていません。
設営の簡単さも含め、ドームテントが一番汎用性があります。
ツェルトは緊急退避用で、軽量コンパクトですが耐水性が低く、一般的にテントとは区別されますが、沢登りの世界では積極的に利用されます。
ここでは移動キャンプ用としてドーム型・ツェルトを中心に話をします。
テントのサイズ
昔ボーイスカウトやっていたころは、ロッジ型(A型)の8~10人用テントで集団で寝泊まりしたものです。しかし、この20~30年位で技術革新による軽量化で、テントの世界もパーソナライズ化され、集団で行っても1~2人毎にテントを持参して寝泊まりするようになっています。
テントのサイズは泊まれる人数が単位となっていますが、これには注意が必要です。1人が横になった時のギリギリのスペースであって、快適にくつろげるスペースではないことです。1人用だと横幅が90cm程度ありますが、2人用だと120cm程度で、2人目は頭が入れ違いで寝る想定のサイズになっています。3人目以降も同様です。
サイズ | 長さ | 幅 | 高さ | 重量 |
1人用 | 205cm | 90cm | 100cm | 1.55kg |
2人用 | 205cm | 120cm | 100cm | 1.66kg |
3人用 | 210cm | 150cm | 105cm | 1.93kg |
4人用 | 210cm | 180cm | 105cm | 2.30kg |
5人用 | 210cm | 210cm | 120cm | 2.77kg |
汎用性を考えると2人用のドーム型テントがオススメです。ソロで行くとき、中で荷物を広げられ、中でくつろぐことができます。もちろん、2人でも寝ることができます。4人パーティなら、2人用を2つ持参する。移動が少なく、荷物の多さが気にならないときは、個々人がそれぞれテントを持参するなど、色々と組み合わせることができます。
ドーム型テント
シングル・ウォールとダブル・ウォール
ドーム型テントは、フライ(外張り)の有無(シングルウォールとダブルウォール)により2種類に分かれます。
ドーム型テントが発売されたはダブルウォールでしたが、テント自体がゴアテックスのような防水透湿素材であれば、フライは必要なく、軽くて設営も簡単になるということでシングルウォールが開発されました。
使用感の違い
この構造上の違いが実際の使用感にどういう影響があるのか?
以下の通り3つ気にすべき点があります。
【雨の侵入のしやすさ】
当たり前の話ですが、出入り口の数もダブルウォールが2つに対し、シングルウォールは1つになります。この違いにより、ダブルウォールの方が、出入りする際のテント内の雨が侵入しずらいです。
【結露のしやすさ】
テント内の水の侵入は、外からの雨だけでなく、内部から発生する結露があります。これはテント内外の温度差により、テント内の空気(水分子)が凝結し、テント内壁に小さい水玉が付く現象です(結露)。結露がひどく発生すると、その水がテントの底を滴り、テント内が濡れてしまいます。
ダブルウォールだとフライが結露を緩衝し、テント本体の結露は少なくなります。しかし、シングルウォールの場合、結露がダイレクトに来ます。
ゴアテックスのような、防水透湿素材を使っていても、結露は発生します。
【前室の確保】
ダブルウォールの場合、前室付きのものがあります。上記の様にフライと本体の間にスペースを大きく取る構造にすることにより、前室が確保でき、荷物を置くことができるようになります。テント内を広く使うにはとても有効で、私の場合、靴・コンロ・食べた後の食器などを前室に置いてます。
【重さ】
シングルウォールはダブルウォールに比べ、生地が半分になるのだから、大幅に軽量化されると思いきや、防水透湿素材は少し厚いので、結果的に重さはダブルウォールとあまり変わりません。
もちろん、今後の製品開発で、もっと軽くなる可能性がありますが…
【まとめ】
ダブルウォール | シングルウォール | |
重さ | ◎ | ◎ |
雨 | ◎ | ○ |
湿気 | ◎ | ○ |
設営の簡単さ | ○ | ◎ |
纏めると、こんな感じになります。
シングルウォールは設営の簡単さがメリットです。ダブルウォールに比べ、少しだけ雨や結露に弱いですが、気にならなければ全然問題ありません。
自分の場合
DUNLOP VL21 2人用 1.65kg(実測)
社会人になり、本格的に沢を始める為に購入。2004年位に購入しているので、熟成の16年ものです。ダンロップのドーム型といえば吊り下げ式が特徴ですが、これはモデルチェンジした直後のポールスリーブ型です。本格的な山岳テントとして、当時最軽量級でしたが、今ではもっと軽いモデルが各メーカから出ています。
このテントを選んだ理由は、フライシートに前室があること、入り口が長辺側にあること、信頼のDUNLOPであることです。ド定番のドーム型テントとして、ARAIテントのエアライズがありますが、これは出入り口が短辺側にあることから候補に外れました。
長辺側に出入り口があると、出入り口と前室を広く確保でき、入った後もそのまま横になれます。
長編側にある広い出入り口と前室が良いです。
燕山荘のテントサイトにて。
短辺側を正面に向けるとこんな感じです(右が出入り口)。
ツェルト
ツェルトとは
ツェルトとは緊急ビバーク用の簡易テントです。登山では一般的にテントと共に、緊急用にツェルトの携行を推奨しています。
ちなみに、テントとの違いは何かというと、以下になります。
- 軽く小さい
- 耐水性が低い
- 底が解放する
- ポールが付属してない
底が解放する理由としては、テントとしてではなく、タープとして利用する、身に纏う簡易シェルターとしての利用を想定している為です。
とにかく小さく軽いのが最大のメリットですが、沢の世界ではタープは昔から積極的にテントの代用として使われてきています。
私も初期の頃は、ツェルトのみで沢泊を結構してました。
自分の場合(通常ツェルト)
PAINE フェザーライト ツェルト 1~2人用 440g(実測)
PAINEはICI石井スポーツのオリジナル・ブランドです。高校生の時に購入したので、30年位経過しています。
ポールが付属していない為、立木やストックをポールの代用とします。
これはポールを使用した例。
立木を使用した例。
中はこんな感じ。A型(三角形型)なのでドームと違い上の方の空間が狭いです。また、底が割れているのがわかると思います。
ドーム型ツェルト
ツェルトは昔からロッジ型(A型)の形状でしたが、10年位前にモンベル から、ドーム型のツェルトが販売されました。ドーム型なので、簡易テントとしての使用に限定されますが、その小ささ&コンパクトさに驚愕したものです。ポールもついており、イメージ的にはツェルトとドームの中間的な存在です。
モンベル U.L Dome Shelter 1 759g(実測)
軽量化目的なので、1人用にしました。また、ツェルトなのに結構なお値段がするので、ヤフオクで中古品を購入しています。
テントではない為、居住性はテントに劣ります。
具体的には耐水性と透湿性。ツェルトとしての意義から、シングルウォールになりますが生地が防水透湿素材ではありません。この為、内部の結露がかなりあります。回避策としては、テント内の空気の流れを十分確保することです。しかし、雨や寒い時など、そんなに入り口を開けることはできません。この場合、結露した水をタオルで拭きとることを繰り返す必要があります。
コンディションが良ければ、ドーム型テントと遜色なく使えます。
今では、このドーム型ツェルトは他メーカーからも出ており、中々に惹かれる存在です。
入り口は、短辺側にあります。
中はこんな感じ。
サイズ比較
左から、缶コーヒー(サイズイメージ比較用)、通常ツェルト(1~2人用)、ドーム型ツェルト(1人用)、ドーム型テント(2人用)。
これだけ、大きさが違います。重さもそれぞれ、440g、759g、1650gで、比率にすると1:2:4位になり、快適さと重さは反比例します。
登山ではとにかく軽さは正義なので、自分の場合、山行目的により使い分けしています。
縦走は基本ドーム型テントです。3000mクラスの尾根の強風に耐える為、また4日~5日の長期縦走をする場合が多く、悪天候リスクを考えた選択です。また、縦走でも低山で日数が少なければ、ドーム型ツェルトも選択肢に入ります。
沢泊は、基本ドーム型ツェルトで、荷物を徹底的に軽くしたい場合は、通常ツェルトも考慮する。などなど。
以上、皆様のテント選びの参考になれば幸いです。