奥只見・恋ノ岐川

  • 2020年4月15日

奥只見の美渓、恋ノ岐沢の記録です。沢登りで有名で、私も大好きな沢の一つです。森が豊かで水が豊富、魚も多く、小滝とエメラルドグリーンの釜が連続し、美しい景色が連続して現れます。

【釣行記】

日時:2006/8/5(土)~2006/8/6(日) 1泊2日
経路:恋ノ岐橋~清水沢出会い~1,273㎜地点~清水沢出会~恋ノ岐橋
天気:晴れ
釣法:餌釣り(ブドウ虫)

【1日目】

透明度が高く、浅いところでは石の色と相まり黄色っぽく、深くなるにつれてグリーン色になって行きます。

大好きなウドを発見。
豪雪地帯の奥山の谷では、8月になっても上記のように雪渓が残ることがあります。
雪渓があると周囲の空気が下がり、その周辺だけ季節感が春先になってしまう為、真夏でも雪渓の周りでは春山菜が取れることがあります。
これは沢でのセオリーです。

恋ノ岐は、森と谷の距離が近いというか、森と谷が渾然一体になっている感じが好きです。

有名な10m2段滝。

清水小屋上のナメ。

美しいナメ床。
この浅いところでも、右手の木の下にルアーを投げると、岩魚が追ってきたりします。

すると直後にこんな釜が。岩が急角度で落ち込んで、水が濃いーグリーンになっています。

この一連の景色の流れは、恋ノ岐の中でもかなりお気に入りの区間です。

すると、谷を遮る雪渓が!
手前の白いモヤモヤは雪渓により温度が下がった空気です。冷凍庫を開けた時の冷気と同じで、この空間だけクーラーの効いた部屋にいるような、ひんやりした冷気が漂います。

すると、先程のセオリーで山菜が出てきます。これはワラビ。処理に手間がかかるので採りません。

コゴミ。灰汁が少なく、あっさりしていて、天ぷらにいいです。

シシウド。雪渓から少し離れたところにありました。

そして、尺上岩魚が釣れたりします。

この小滝は均整が取れていて好きです。
写真からは見えないですが、左からは20m程の細流滝が落ち込んでいます。
コーヒーで休憩しならが、うっとり眺めます。

キノコ。

設営して夕食です。
魚・山菜と、山の恵みをありがたく頂きます。

岩魚の刺身。鮭科だけあって、ピンク色をしています。

岩魚のムニエル。刺身だけだとあっさりし過ぎるので、ごま油にニンニク&生姜をお入れた、ガッツリ系の味でエネルギー補給します。

ウドの味噌炒め。本当はウドの芽の天ぷらが大好物なのですが、天ぷら道具を持参していない為、即席でこんなの作りました。

岩魚の味噌汁。岩魚は、同じ渓流魚であるヤマメやニジマスと比べて、出汁の出る魚です。野性味のある味です。
美しい谷で、山の恵みを堪能し、素晴らしい1日となりました。

【2日目】

幕場。増水したら完全にアウトな場所ですが、逃げるルートもあり、天気予報的に大丈夫と判断。

今回は軽量化の為に、ツェルトを持って行きました。
中はこんな感じになりますが、ドームテントに比べると雨に弱いし、空間も狭いです。が、大きさと軽さは圧倒的にツェルトです。真夏でほぼ晴れる場合は、十分使えます

今回の装備。手前の右のオレンジのがツェルトです。レインウェア やシュラフ・カバーよりも小さいのがびっくりです。
今回はかなり荷物をコンパクトにし、真夏なのでシュラフは持たず、シュラフ・カバーのみとしました。過去の沢行の中でも、かなり荷物が少ない方です。

相変わらず、重厚な景色が続きます。

20m位の連爆帯。

途中、カエルをパチリ。
実は渓流って、カエルも結構います。
今回は休みの都合がで2日しか取れなかったので、これで引き返します。

昼は昨晩漬けておいた、漬け岩魚丼を味噌汁で食します。

【総評】

初めて、この沢に来た時の感動は忘れられません。
沢の綺麗さはもちろんですが、山の生物の豊かさにも感動をしました。

関東近郊の沢と違い、豪雪地帯の沢は盛夏の森の濃厚さ(動植物の音、大きさ、森の匂い)と豊かさ(多さ、大きさ)が圧倒的に違います。
※この感覚は体験した人にしか、伝わらないと思いますが…

分析すると、これは雪が深く関わっていると考えられています。
恋ノ岐の場合だと、沢登りや釣りで奥まで入れるのは、7月~9月の期間に限定されます。雪に閉ざされていない期間は1年のうち1/4しかなく、動植物の活動期間もこの短い期間に限定されます。
この短い時間に、木は地面から水と栄養を吸い上げ太陽光から光合成をし、小動物は餌を捕食し子を産み、魚は水中の虫を食べるなど、行わなければなりません。つまり、短期間に一気に生命を謳歌する必要があります。豪雪地帯の山菜が太く大きいのはこれと同じ理由と考えられています。

また、雪が谷に残ることで、夏になっても川の水が枯れず、これにより川虫やそれを食べる小動物を養い、さらに魚やそれを捕食する鳥なども守ることに繋がっています。

雪山という自然環境が、生物に豊かさを与えています。