奥秩父・大常木谷

  • 2020年4月6日

 もう一つ、奥秩父の沢を紹介したいと思います。これも、当時の記録を元に記事にします。


 今回は、奥多摩(奥秩父南面)一の美渓・険谷といわれる大常木谷まで行ってきました。
 去年の五間の間(滝)での撤退が悔しくて、ここの遡行も今年の目標としていました。

【釣行記】

日時:2006/9/3(日) 前夜発日帰り
経路:一之瀬川~大常木出会~千苦の滝~会所小屋~シナノキノタル~竜喰谷~一之瀬川
天気:晴れ
水温 15℃
釣法:餌釣り(ブドウ虫)

2005/9/3(土)】

0:50 自宅発

3:30 一之瀬川駐車スペース着
 仮眠

6:30 起床
 4:30起床のつもりが、爆眠してしまった!

7:00 一ノ瀬川駐車スペース発
 一之瀬川に降りるのもなかなか厳しい。お助け紐2回使用。

7:35 一之瀬川着
 大常木谷に行くまでが結構大変で、踏み後や残置ロープがなければ一番の関門かも。

8:35 大常木谷出合着

 相変わらずの水の清冽さ!水底の黄土色や灰色の小石とのコントラストが素晴らしい。これは、大常木ならでは!

8:57 五間の間着

 去年の最高到達地。去年は青梅街道の崩壊(オイラン淵付近)で、出遅れたのと、寒さでぶるぶる震えていたので引き返しました。ここを越えたいという情熱が今回の大常木遡行を駆り立てましたが、カッパを着て、果敢にシャワークライミング!ホールド自体はガバガバなので、難なくクリア。

9:23 千苦ノ滝

 いよいよ今回最大の難所と思われる大常木最大の滝「千苦ノ滝」。
 垂直の断崖絶壁から25mの落差で大量の水を釜に落とす圧巻の滝です。滝はメートル的な高さよりも、水量や垂直度などにより体感的な威圧感は変るのもですが…う~んこれはすごい。

19:05 千苦ノ滝上部下降
 この高巻きはやはり一番の難関でした。垂直に降り立つ崖淵を微妙なスタンスしか取れない踏み跡で登り続けなくてはなりません。しかも、滝上部のルンゼを越えるところは、手がかりもなく滑ったら一気に30m下の滝壷に落ちてしまう状況です。多分Noザイルでも行けるが、万全を期し、ザイル確保で渡る。

10:22 ヤマメ淵通過

 思ったより、規模が小さい。しかも、大常木はアマゴの谷なのになんで、ヤマメ淵という名前が付いているんだよ!ここは泳がず倒木を使って乗り越える。

10:25 早川渕通過

 ここから竿を出す。が、当たり無し。すごいゴルジュでしょ。でも、へつりはそんなに難しくない。

10:30 釣り開始

 少し行った釜で竿を出す。大常木はこんな上流でもアマゴが生息しています。岩魚はいないのかな?以後、素晴らしい渓相は続くが、18cm以下のアマゴしか釣れず。

13:01 御岳沢出合
 う~ん、水量少なすぎ。これでは、釣りは厳しい。

13:24 会所小屋
 大常木林道を使用(現在は廃道)。踏み後はしっかりしてる。

14:52 コシノキノタル通過

 コルなので風通しがよく気持ちいい。ボーイスカウト時代を思い出す。

16:04 竜喰谷下降点着
 通常は大常木を会所小屋まで詰めたときは、大常木林道をはるか将監峠まで登り、そこから三ノ瀬まで降りるのだが、このルートは、とてつもなく長く日帰りでは難しい。
 そこで、竜喰谷に下降するルートを地形図の等高線から見出し、そこを下る計画を立てていた(多分最短ルート)。なにせ踏み後すらないとこなので、今回の遡行は千苦の滝とこの下降点が一番のポイントと考えていました。ところが!このルート取りは完璧で、特に危険もなく予定通り竜喰谷へ普通に降りれました。

16:04 竜喰谷着

 う~ん、5~10mクラスの滝が多い。ひょっとしたら大常木を下った方が早いのではないか?でも、千苦の滝の高巻き道を下りたくはいし…やっぱりこっちが正解なんだろう。竜喰谷は、コゲ茶色の巨岩が多くかなりダイナミックな印象。渓相的にはこっちの方が好き。でも、魚は相変わらず小さい。15mの懸垂1回あり。

17:46 竜喰谷&一ノ瀬川出合通過

 この出合は豪快。一之瀬の川幅が狭まり、ものすごい水勢となっている。しかも、すぐ下が7m位の滝になっている。流されたら死ぬなと思い、再度カッパを着て、一之瀬の左岸をシャワークライム。ここまできたら安心。一之瀬を対岸に渡れば、1~2分登るだけで道路に出る。

18:20 一之瀬川駐車スペース着

18:40 一之瀬川駐車スペース発

19:40 御岳蕎麦屋「木村」で、大もり食す

21:30 R16が珍しく込んでいて睡魔に襲われる。
 相模原近辺で仮眠

23:00 自宅着

【総評】

 今回の遡行に当たっては、以下の3点が最大のポイントと考えていました。

①五間の間→去年の撤退地点
②千苦の滝→どの情報でもここが難関とのこと
③竜喰谷下降点→無事竜喰谷に下降できるか?

 結果的には、千苦の滝の高巻きの高度感にビビッた程度で、覚悟していた以上の困難度はありませんでした。渓的には、水の綺麗さでは確かに奥多摩一だけど、少し物足りないというのが正直なところです。
恋ノ岐や井戸沢と比べてしまうと、やはり水量と魚の豊かさが…
 魚はやはりそんなに多くないですが、渓相的には下降した竜喰谷の方が好きです。

 でも実は、今回一番満足しているのは、ルート取りと時間計画でした。特に無理もせずに、悪渓と名高い大常木谷を、予定のポイントに時間通り通過できたからです。また、杣道のないところを下る竜喰谷の下降ポイントのファインディングもばっちりでした。

 僕の場合、毎回釣行前に国土地理院の地図を見て、何時ごろにはここに着いて、何時頃にはここを通過して、何時頃には車に戻るという大雑把なストーリーを作っているのですが(でないと帰れなくなる為)、今回はこれがドンピシャリ。情報は国土地理院の等高線のみなので、正確な地図読みと、自分の遡行ペースをしっかりと把握できてないと出来ない芸当です。

 これは、3年位前から遡行記を付けるようしてきたのと、やはりGPSの存在、そしてカシミールを使用した釣行後の遡行分析の賜物です。