大好きな奥秩父の荒川水系の谷。滝川の支流、豆焼沢に行ってきました。
ホチの滝・トオの滝・50m大滝・19m4段滝・両門の滝など、素晴らしい滝が多く、ナメもあり奥秩父の名渓と言われています。この水系は幾度となく来ていますが、豆焼沢は何かとタイミングを逃し、ようやく今回トライすることができました。記録を遡ってみると、滝川水系は2007年に槇ノ沢に来たのが最後なので、なんと14年振りになります。
沢行記
日時:2021/5/4(火) 前夜発日帰り
経路:出会いの丘~踏み跡~トオの滝~50m大滝~両門の滝~左俣~雁坂小屋~黒岩尾根~出会いの丘
天気:晴れ
1日目
14年振りだけと、全く変わらない立派な建物。トイレも完備され、これだけの山奥で珍しいです。
出発の準備していたら、デジカメを忘れたことに気付きます。部屋の奥まった所で充電していたのですが、寝起きで忘れてしまったようです。仕方ないので、iPhoneで撮影することにします。沢は20年近くやってますが、カメラを忘れたのはこれで2回目。しかも、1回目は同じ滝川水系である槇ノ沢に来た時です。
このコロナ禍、人出は少ないと思いましたが、これだけ車がありました。
やはり人は家に閉じこもってばかりいるのは難しいようです。
2010年にブドウ沢・水晶谷周辺で発生した4重遭難の慰霊碑。手を合わせて、黙祷します。
建物の裏に回り、ワサビ沢に入ります。途中、立派なヘリポートがあり、奥に豆焼橋が見えます。
ワサビ沢からトオの滝までの踏み跡です。最初の取り付きは少しわかりずらかったですが、その後はしっかりした踏み跡になります。
トーガク沢。奥に見えるのは、雁坂トンネルの避難用通路でしょうか?
トーガク沢。沢がコンクリートで要塞されてしまっています。雁坂トンネル工事で一番被害を受けたのが、ワサビ沢とトーガク沢です。これはもはや沢と言えるのか?ワサビ沢もこのようになっており、初めてワサビ沢を見た時は、その変容に背筋に寒気を感じたのを覚えています。
トーガク沢の下流方面を望む。
トオの滝。暫く進むと、踏み跡も終わります。雁坂トンネルの影響はトーガク沢までで、ここから先は往年の豆焼沢の姿を残すと言われています。
気持ちの良い滝が続きます。
天気が良く、谷も映えます。
水温計を持ってきませんでしたが、水はかなり冷たかったです。5℃位でしょうか。途中、竿を出しましたが、この水温だと、全く反応がありません。
GPSで位置確認していると、現在地がおかしく枝沢を指しています。GPSには絶対の信頼を寄せている為、違和感を感じながらも一旦引き返すこととします。沢を下っていると、パーティーが来て、ここが豆焼沢で間違いないとのこと。そこで、GPSを色々と弄ると、設定に問題があったようです。今まで触ったことない項目なので、これは考えもしませんでした。なんで変わったのだろう。
50m大滝。岩に囲まれた形状の圧巻の滝です。
迫力が凄い。この大滝は右岸を巻けるのですが、少し微妙でした(難しかった)。
大滝をなんとか高巻き、ルンゼを下るとすぐにまた滝があります。ルンゼを登り返し、この滝も纏めて巻きました。
その後、19m4段滝。この奥に右側に折れて、更に2段滝が続いています。これは、左岸を巻きます。
登りやすいナメ滝もあります。
そして、ついに両門の滝。釜の沢の両門ノ滝同様に見事です。
右俣。こっちが本流になります。
左俣。2段滝となっており、右俣に比べると水量は少ないです。
今回は左俣を登ります。ここを登ると、雁坂小屋にダイレクトに至ります。
左俣は勾配はきつくなりますが、滝は直登でき、特に巻はありませんでした。
コバケイソウ。ウルイに似ていますが毒草です。
源頭近くは、雪が残っています。だから、沢がこれだけ冷たいのか…
いくつかの支沢を分け、次第に水量が少なくなり、伏水気味になります。
とうとう水が枯れました。
ついに登山道に出ました。ここまでくれば安心です。そんなに長い詰めではありませんでしたが、もう若くない身体なので、結構きつかったです。パイプは沢水を雁坂小屋に運ぶものです。
登山道を辿り、数分で雁坂小屋に到着。
ここは大学時代の友人K君と2009年に正月山行した時に宿泊しています。懐かしい。
小屋番の話だと、今日はかなり天気が良く、昨日と一昨日は雪が降ったそうです。
途中テントサイトを通りましたが、テント泊者もかなりいました。
黒岩尾根を下ります。しっかりした道です。しかし思った以上に長い。後半は疲労困憊です。
水晶谷に降りる分岐近くの広場。13~14年前に数回通ったはずですが、全く記憶がありません。
ついに豆焼橋まで来ました。隣は雁坂トンネルへと続くR140です。
豆焼橋を渡ります。なんとか明るいうちに、車に戻ることができました。
豆焼橋から、雁坂大橋が見えます。豆焼橋が赤く、雁坂大橋は黄色です。
総評
久しぶりの沢ということもあり、とても体力を消耗しました。沢としての豆焼沢はその名声通り、とても良い沢でした。トーガク沢までの踏み跡は、しっかり残り、滝は多いですが、巻道はしっかりしています(大滝以外は) 。といっても、谷自体が厳しく深いので、人臭さはありません。
もう少し言えば、奥秩父の最深部はGWでは新緑のタイミングとしては少し早く、5月下旬から6月上旬がベストです。
また、今回は準備含め、失敗が3つありました。
1つ目はデジカメを忘れたこと。今後は、前日にカバンにしまって置くこととします。iPhoneで沢の撮影は初めてでしたか、軽く手軽に撮影できる利便性はありますが、解像度やピントがやはり甘いです。
2つ目はGPSの設定。これにより沢を登り返した為、1時間位ロスしたでしょうか。再発防止は出発時に位置確認することで、回避することとします。
3つ目はGPS問題で沢を登り返しましたが、その際にマップスケールを置き忘れてしまったこと。これまで、置き忘れはほとんどありませんでしたが、焦っていたのでしょうか?久しぶりなので山行が雑になっていたのか?
ちなみに、左俣を詰めていた時に立派な鹿の角を拾いました。シカの骨や角はたまに沢で見かけることがありますが、これほど大きく真っ直ぐなものは初めてです(二つの先が少し折れてしまってます)。家に帰ってサイズを測ったら60cm。
雁坂小屋の小屋番の人の話だと、表面の皮が無いことから、去年の秋位のものとのこと。小屋番の人も、立派な角だと言っていました。
最後に山神様から素敵な贈り物がありました。家の飾り物にしようと思います。