スーパー地形の使い方とスマホの運用について

神ソフトであるカシミール3Dがスマホやタブレットで使えるようになりました。スーパー地形のあまりの素晴らしさに感動し、今回記事にしてみました。このアプリの評価はとても高く、ブラタモリなどの地形マニアの間でも使われているようです。

スーパー地形とは

一言でいうと、高低差がはっきりとわかるスマホ用の地図アプリです。PCソフトの「カシミール3D」をスマホアプリにしたもので、地図データとセットになっています。特徴は、なんといっても地図の素晴らしさ。また、スマホのGPSと連動してログを取ることができるので、GARMIN GPSなどと同じ使い方ができます。

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スマホ版アプリの特徴

カシミール3Dは登山を趣味とする私にとって欠かせないソフトである為、スマホやタブレットでカシミール3Dが使えないか?と常々感じていました。カシミール3Dのサブスクとしてのスーパー地形は以前から知っていましたが、スマホアプリが出ていることを今更ながら知りました。

iPhone版、Android版それぞれが出ています。

また、iPhone版は、iPadとApple Watchにも対応しており、iPhone派の自分は、これらにすべてインストールしています。記事では、基本iPadの画像で説明していきます。

タッチパネルに特化した操作性

カシミール3Dは操作が少々難しいので、スマホのタッチパネル化は難しいんじゃね?と思ってましたが、これが見事な仕上がりです。スマホ版だからと、機能や細かい設定を安易に犠牲にせず、カシミール3D同等の操作ができます。作者の開発能力が凄すぎます。

地図スクロール・ピンチイン・ピンチアウト、方位表示・現在地表示など、GoogleMapsと同じ操作感で使用できます。

また、地図の濃淡・重ね合わせ時の透過度など、表示設定や操作設定をかなり細かく設定できるようになっています。カシミール3Dと同じ位細かく設定できるような気がします。スマホアプリでここまで作りこんでいるのが凄い。

課金システムの違い

PCのカシミール3Dで使用する場合、1,680円/年のサブスクとなりますが、スマホアプリは960円で買い切りでかなりお得です。しかも、同一ライセンスでタブレットやスマートウォッチも使えてしまいます。

iPadが非常に見やすい

地図というのは広い程、俯瞰性が出てくるので、iPadの大画面で見るとかなり使えます

これまで、カシミールによるルート検討はPC画面上からしか出来ませんでしたが、これによりベッドで寝転がったり、ソファーでくつろぎながらルート検討できるようになりました。

また、スーパー地形の良質な地図をAppleのRetina Displayで見れるので、画質もかなり綺麗です。

Apple Watchにも対応

至れり尽くせりで、Apple Watchにも対応しています。iPhone版と比べ機能は制限されますが、地図の表示・切替、拡大・縮小、トラックの記録などWatchでやりたい事は一通りできます。

Apple Watch の小さい画面に、スーパー地形を映してくれます。
クラウンホイールで拡大縮小が可能。
操作画面。GPSのON・OFFがWatchから可能。
設定画面。簡単な設定が可能。

よりアクティブにスーパー地形を使いたい時、有効なツールとなります。ちよっとした地図の確認やGPSのOFF・ONなど、いちいちスマホを取り出す手間が無くなるので、登山でより威力を発揮しそうです。

Google Mapsが使える

これは便利。PC版のカシミールも対応して欲しいところです。高低差や地形を見るときはスーパー地形が便利ですが、街中にいるときは情報量の多さで GoogleMaps が良いです。

オフラインでも使える

登山の為の機能で、電波の入らないところでも使用できます。山では電波の入らないところがほとんどですが、事前に地図データをアプリにダウンロードしておくことで、オフラインでも使用できます。これにより、登山用GPSとなります。

こんな感じで、地図データをダウンロードすることができ、電波が入らない状況ではオフラインで使用することができます。

地図の素晴らしさ

スーパー地形の地図データはもちろん凄いのですが、他にも多くの地図が見れるようになっています。

スーパー地形

地形が抜群に見やすく、このアプリのメイン地図。ずーと見てられます。

地理院地図

地形図と言えば、国土地理院。国が作っている地図です。本家のWebサービスもありますが、GPS連携やスーパー地形での組み合わせでより威力を発揮します。

GoogleMaps

情報量の多さと検索性で、通常使いではやはりGoogle Mapsが便利です。

今昔マップ

今昔マップは今と昔の地形図を比較できるWebサービスですが、これもスーパー地形で表示することができます。

今昔マップ 桜木町-関内周辺(1896-1909年)

1890年代以降の年代毎の地形図を見ることができます。首都圏は都市開発や埋め立ての歴史が見れとても興味深いです。

今昔マップ 桜木町-関内周辺(1896-1909年)+ スーパー地形

このように今昔マップとスーパー地形を重ね合わせて表示することもできます。これはスーパー地形ならではの機能です。

本家のWebサービスの良いところは、今と現在を比較できるところで、気に入っているサイトの一つです。実家や自分の住んでる地域を見ると面白いと思います。

地質図

少々マニアックですが、世の中には地質図というものがあります。その土地は、いつ頃でき、どんな成因なのかがわかります。地質学の知識がないと、見てもよくわかりませんが、地質学を学びながら見ると面白いです。

ハザードマップ

ハザードマップも見れたりします。

地図一覧

上記はスーパー地形で見れる一部であって、以下にメニュー表示してみますが、とんでもない種類の地図が見れます。

左下の「地図」をタップすると、見ることができる地図が出てきます。

さらに「その他」をタップすると、これだけの地図を見ることができます。

地図によっては、更にサブメニューが出てきます。

スマホの可能性について

スマホの進化は凄まじい限りです。小さい筐体に様々なセンサーを組み込み、Webサービスの進化と共に、なんでもできる様になっています。

スマホ1つで完結してしまう

PC・GARMIN GPS・地形図・カシミール3D・デジカメと、これまで専用機器を使ってやってきたことが、スマホがあればこの1台で済んでしまいます

 荷物も少なくすることができ、インターネットや電子決済を初め、本当に様々なことができる為、山岳ツールとしてのオールマイティーさは群を抜いています。

GPSログの取得

スーパー地形を使うことにより、GPSログの取得が可能となります。実際の操作イメージはこんな感じ。

[1]ログ取得の開始。
[2]ログ取得を終了。
※消費電力を節約する為、一時停止もできます。
[3]終了すると、断面図や移動距離などの情報が表示されます。
※画像はテストの為、意味のないデータですが…
[4]こんな感じでログが記録され、地図に表示するかどうかを選択できます。
※下部はこれまで溜め込んできた大量のGPSログ
[5]昨年の豆焼沢のログを表示してみます。
[6]山頂付近を拡大。
横向きにするとこんな感じ。

カシミール3Dとの連携

GPSデータは、GPXやKMLという汎用ファイル形式で外部ファイル出力ができるので、カシミール3Dに取り込んだり、Google MapsやGoogle Earth 上に表示させたりできます。

トラック選択時のメニュー
出力メニュー

取得したGPSログは、カシミール3D同様に編集もできます。このあたりの機能は流石です。

地図による編集
グラフによる編集

これまでもスマホを使ってGPSログを取得するアプリはありましたが、編集や外部出力が出来ず、自分の資産とすることが出来ませんでした。しかもアプリ開発が終了すると、使えなくなったりしたものです。こういった点で、カシミール3Dの作成者であるDAN杉本さんのアプリはさすがと言えます。

懸念点

大絶賛のスマホ版スーパー地形ですが、私の用途だと気になる点もいつくかあります。

バッテリー問題

スーパー地形というより、スマホ自体の問題ですが、スマホ最大の欠点であるバッテリー持ちが悪いこと。ただでさえ持ちが悪いのに、GPSとネットを同時に使うと更に消費します。

縦走などで数日間ログを取り続ける場合、モバイルバッテリーをそれなりに用意する必要があり、バッテリー対策を十分に取る必要があります

ただ、泊まりが小屋や旅館の場合、充電器も持ち合わせればモバイルバッテリー1つで大丈夫だと思うので、バッテリー問題はそこまで気にする必要も無いと思います。

安定性

スマホは仕組み的にはPCでもある為、縦走の様に長時間ログを取り続けた場合、メモリの断片化などにやる長時間稼働時の不安定さも気になるところです。これは実際に使ってみないとわからないので、今度フィールドテストで評価したいと思います。

誤操作

また、使ってみて感じたことは、誤タッチでログ取得をオフにして、気づかないままでいてしまったこと。

スマホだとスーパー地形以外、ネットや電子マネーなど、色々と触る機会が多く、誤操作の可能性が高くなります。また、タッチパネルなのでクリック感が無いのも気が付きにくい要因と思います。

GARMIN GPSの場合、強めの物理スイッチを何回か押さないとオフにならず、誤操作でログがストップしてしまうことはまずあり得ません。

フィールドテスト

上記以外では、GPS感度なども気になる為、別途フィールドテストして、検証していきたいと思います。

しかし、これらは沢や縦走という用途での懸念であり、通常の観光や日帰りでの使用ならモバイルバッテリー1つ持てば全く問題無いと思います。また、登山前後のルート選定や記録整理では、これらの懸念は関係ないので、いずれにせよ、使えるツールであることに変わりはありません。

登山のツールとして、皆様の参考になれば幸いです。