登山用シャツの選び方

登山用のシャツも昔に比べるとかなり進化を遂げています。

登山用のシャツは以下の機能性を持っており、初めて山をやる場合、できれば登山用品店で1枚揃えるのをオススメします。

機能性

[1]吸湿拡散

生地の構造により、汗を吸上げ水蒸気として発散する機能で、体をドライに保ってくれます。この概念は衝撃でした。確かに快適です。

吸湿拡散機能のイメージ

[2]即乾

[1]と近いですが、すぐ乾く素材というのは、山で怖い汗冷え回避する最も重要な要素です
これは、生地の構造(糸の作りや生地の編み方)もありますが、素材が大きなウェイトを締めます。例えば、コットンは肌触りと吸汗性に優れますが、一度濡れると中々乾かず、これが冷えに繋がります。また、ウールは濡れても、乾きやすく冷えずらい素材です。ポリエステルなどの化繊は生地自体が吸水しません。

同じポリエステルでも、糸の撚り方、生地の作り方を工夫することにより、機能的な素材を作ることができ、各社いろいろな生地を開発しています。また、天然素材と人口素材をうまくハイブリットしたものもあります。

[3]伸縮

伸びるので、体を動かした時のストレスや疲労軽減に繋がります

最近は、ユニクロなどの日常衣類でも機能的な衣類が出てきています。ストレッチ性はその一つですね。

[4]防臭

最近の登山シャツは大汗かいた後でも、シャツが臭くなりません。

私は単独行が多いので、自分だけならまだ良いですが、パーティー山行や小屋泊りなどは、周りに気を使ってしまいます。また、荷物も少なくすることができます。このストレス軽減は、結構大きいです。

形状

素材

山では、雨や汗による衣類の濡れが冷えに繋がり、命取りになることがあります。この為、コットン(綿)は肌触りと吸湿性は良いのですが、山では使えません。登山用品店では、以下の素材のシャツが売られています。

  • 化繊
  • ウール
  • ウール&化繊

また、機能を決めるのは素材だけではありません。生地の作り方や加工法により、色々な機能を持つシャツができます。

厚さ

薄手・中厚手・厚手タイプがあり、冬山などでは厚手タイプを使用します。しかし、レイヤリングである程度対応できるので、薄手のシャツがオールシーズン使えて汎用性があります

半袖・長袖がありますが、私は沢を主にやってきた為、ほぼ長袖しか使いません。枝が刺さったり、岩にこすったり、アブ・蚊などの虫から腕を守る為です。日焼けによるエネルギー消耗を防ぐ効果もあるようです。

その他

肌に密着させるタイプかどうかで機能が少し違ってきます。
シャツタイプ:肌にフィットさせない(風通しが良い)
ベースレイヤータイプ:肌にフィットさせる(暖かい、吸湿拡散機能がある)

他には、首元にジップがあるかどうかも選べたりします。特にベースレイヤータイプは、ジップがあるとベンチレーション(風を入れる)が効くので、オススメです。

所有品紹介

長袖

patagonia キャプリーン2 クルーネック サイズ:S 重量:124g
素材はポーラテック・パワードライ(ポリエステル100%)という化繊で、通気性が抜群に良いです。
初めてのpatagoniaのシャツですが、吸湿拡散性能が凄く、体をドライに保ってくれます。体に密着させることにより、汗を吸い上げて拡散させる構造の為、後述するモンベルのシャツに比べると若干の圧迫感がありますが、直ぐに慣れます。
また防臭機能が優秀で、大量に汗かいているはずなのに、匂いがほとんど付きません。これには驚きました。
機能:[1]吸湿拡散、[2]即乾、[3]伸縮、[4]防臭

patagonia キャプリーン2 ジップネック サイズ:S 重量:151g
キャプリーン2の機能性に感動し、ジップネックも購入してみました。ジップネックは暑い時のベンチレーションにとても有効で、自分にとって現時点のシャツ選びの最適解と思っています。
泊りの山行時は、前述の製品とセットで使用しています。8年位前に購入。
現在のメインシャツです。
機能:[1]吸湿拡散、[2]即乾、[3]伸縮、[4]防臭

モンベル WIC.ロングスリーブT サイズ:XS 重量168g
モンベルの自社開発化繊、ウィックロン(ポリエステル100%)製です。
キャプリーン2の前に、メインで使っていました。キャプリーン2と比べると、肌に密着させるタイプではないので、着心地は楽ですが、吸湿拡散性能はありません。防臭性能もキャプリーンより2段階くらい劣ります。
機能:[2]即乾、[4]防臭

モンベル WIC.ロングスリーブT サイズ:XS 重量166g
前述のモデルの色違いで、泊りの山行時はセットで使用していました。16~17年位前に購入。
機能:[2]即乾、[4]防臭

半袖

パイネ ダクロンQD MAX Tシャツ サイズ:S 重量:181g
初めて買った山用のTシャツ。即乾性はありますが、汗かいて乾いた後の匂いがかなり残ります。22~23年位前の購入で、防臭機能の有無は、今となっては外せません。
機能:[2]即乾

ファイントラック ラミースピン サイズ:S 135g
新進気鋭のメーカー、ファイントラック・ラミースピン素材(ポリエステル80%、ラミー(麻)20%)からできています。サラサラ感と丈夫な生地です。
普段使いで使用している為、即乾性や防臭性は体験できていません。

結論

私が過去に使ってきたシャツを紹介してきましたが、登山用シャツも常に進化しています。
そして、その機能性には驚くばかりです。細かいことを言うと色々あるのですが、以下が結論になると思います。

・山で着るのに、コットン(綿)素材のシャツはとにかく避ける。
・できれば、登山用品店で1枚揃えた方が良い。
・コストをより抑えたければ、ユニクロなどでも代用できるものもある。
・こだわるなら、吸湿拡散・伸縮・防臭機能を備えたシャツだと快適。