肌寒くなり、紅葉の季節になってきました。今回は紅葉で有名な、北アルプスの涸沢の記事になります。
槍穂高岳縦走で通った尾根筋を、涸沢の紅葉と共にビールを飲みながら眺めるというのは、極めて贅沢だなと常々考えていました。また、母が涸沢に一度は行きたいと言っていたこともあり、小屋泊りで一緒に行くことにしました。
山行記
日時:2017/9/29(金)〜10/1(日) 前夜発2泊3日 小屋泊
経路:上高地〜明神〜横尾〜涸沢〜穂高岳(ピストン)
※29(金):涸沢ヒュッテ、30(土):涸沢小屋に宿泊
天気:曇(少し晴れ)
装備
今回は、食事も泊りもすべて小屋で済ませる為、荷物は少ないです。念の為、ツェルトも持参します。
1日目
沢渡(さわんど)の駐車場。
これまで北アルプスは縦走が目的だった為、公共交通機関を使っていましたが、今回は母との山行なので車で行くことにしました。ただし、上高地まで交通規制により車で行くことができません。途中の沢渡の駐車場で止め、上高地まではバスで行く必要があります。
上高地。初めてここに来た時は、飲食店や売店がいくつもあり、その観光地振りにびっくりしました。荷支度をし、早速出発します。
有名な河童橋。日が照っていない為、梓川は薄暗いです。
明神岳。日が出てきました。麓には明神池があります。
明神館。休憩し、お手洗いに行きます。それにしても人が多く、ほとんどの人たちは涸沢目的のようです。
横尾までは平らな道が続きます。
徳沢園。
ここは芝生のキャンプ場があり、一度はテントを張ってみたいところです。写真撮っていなかった。
横尾過ぎ、涸沢に入ります。横尾以降は少しづつ、登りになって行きます。
振り返ると谷があり、地図を見ると横尾本谷のようです。
ようやく着きました、有名な涸沢カール。80%位の紅葉でしょうか。
確かに、この景色は凄いです。すり鉢の底にいるようで、かつて縦走した北穂高岳・涸沢岳・穂高岳・吊尾根・前穂高岳の尾根筋がぐるりと取り巻いています。
これも有名な紅葉期の涸沢のテント村。
雑誌の写真で見たことありますが、改めて凄い数のテントです。
北穂高岳(3106m)
左下に涸沢小屋が見えます。
涸沢岳(3103m)
奥穂高岳(3190m)
前穂高岳(3090m)
逆側には常念岳・蝶ヶ岳の稜線が望めます。
ざっと景色を堪能したら、本日宿泊する涸沢ヒュッテのチェックインを行い、まずはビールで喉を潤します。じっとしていると、かなり冷え込んできます。
アーベントロート(夕焼け)。涸沢が深紅に染まるこの瞬間を見る為に、みんな外に出てきます。
1日目は涸沢ヒュッテに泊まりました。布団ひとつで2~3人も詰めて寝なくてはいけないほど混雑します。体痛いし、寝れません。テントの方が良かったかも。
2日目
2日目は隣にある涸沢小屋に泊まる為、まずはチェクインしに行きます。
涸沢小屋は涸沢ヒュッテから少し上がったところにあります。
涸沢小屋。荷物を纏め、自分は奥穂高岳(行ければジャンダルムまで)に向かいます。母は景色を眺めながら小屋周辺をゆっくり散策しているとのこと。
涸沢ヒュッテとは違う角度から涸沢カールを望めます。
ナナカマドの紅葉。赤と黄色と緑の鮮やかな景色にテンションが上がります。
ザインテングラート目指し、登り始めます。
ちなみにザインテングラートとは、「山頂から横に張り出す岩尾根(岩壁の支尾根)」のドイツ語だそうです。アーベントロート(夕焼け)やモルゲンロート(朝焼け)など、登山の世界ではドイツ語がそのまま使われることが良くあります。
抜ける空の色で、天気も申し分ありません。
振り返ると、涸沢ヒュッテがこんなに小さく見えます。すり鉢状の底のほんの狭いところにヒュッテがあり、涸沢のスケール感を実感。
ザイテングラートに入ります。特に難しくありません。
振り返ると、どっしりとした常念岳に背後にありました。常念岳と蝶ヶ岳の稜線もいつか歩いてみたい稜線の一つです。そして、そこから槍穂の稜線を眺めたい。
ザイテングラートも終わりに近づく頃の前穂の稜線。
上部からⅠ峰、Ⅱ峰、Ⅲ峰……と数えてⅧ峰まであるバリエーション・ルートで、行くなら若いうちに行っておきたい…
そんなこんなで、穂高岳山荘に到着。
これだけの標高(2983m)にありながら、北アルプスの小屋で最先端を行っている小屋の一つです。設備は勿論ですが、内部の雰囲気も含め格調の高い小屋です。ちなみに、写真にある石畳みは山の岩を敷きつけたものらしいです。小屋の方々の努力の結晶で、この空間ができています。
奥穂に向けて、小屋の先はすぐに鉄梯子が待ち構えています。登山コミックの「岳」に、ここは良く出てきました。
そして奥穂高岳に到着。
前回、槍穂縦走した時はガスで全く景色がなかった為、今回の予想外の山からのプレゼントにとても感動しました。
笠ヶ岳。断層が見えます。
ジャンダルム。今回は時間的に諦めましたが、いつか西穂-奥穂の縦走で踏みたい山頂です。スケール感が伝わらないと思いますが、この迫力、凄まじいです。
槍ヶ岳が見渡せます。これが以前縦走した登山道です。隠れてますがこの間に大キレットがあります。
北穂に至る吊尾根。
遥か先に富士山も望めます。
岳沢。その先に上高地も見えます。河童橋の逆風景といって良いかもしれません。
ピラミダルな常念岳もこの通り。
山頂の景色に見とれ、ずっとここに留まりそうでしたが、渋々と下りることにします。
これから下る、涸沢です。
穂高岳山荘が見えてきました。本当に凄いところに建てたものです。
昼食は、山荘で「味噌ラーメン」を食べました。
ザイテングラートを下ります。
天気が良いので、山が映える。
カールが日陰になってきました。
カールには万年雪も残ります。
無事、涸沢小屋に生還。
相変わらず、テントの数が半端ない。夜になると面白いことになります。
テント泊のランプが、テントの生地を通して、黄色や緑、オレンジ等の色となり、幻想的な景色になります。こんなの初めて見ました。マニュアル露出で、色々な写真を撮って遊びました。
3日目
いよいよ最終日。
朝は奥穂の稜線のモルゲンロートを堪能。
一晩お世話になった、涸沢小屋を出発。
屏風岩。フリークライミングで有名な岸壁です。
帰りは、横尾で写真を撮りました。
少し曇り始める。上高地周辺の右岸側は、静かで綺麗な景色が堪能できます。この後、明神周辺を散策し、河童橋の五千尺ホテルでコーヒーを飲んでみました。
総評
今回の涸沢は、写真の撮れ高が半端なかったです。
天気に恵まれたこともあり、特に2日目の奥穂高岳からの景色は、ガスが全くなく、過去最高の景色だったかもしれません。改めて穂高とその周辺を知ることができました。
また、今回は母と一緒ということもあり、上高地周辺を散策したり、コーヒーを飲んだり、普段とは違った山行を楽しむことができました。母は少々疲れたようですが、涸沢の景色に喜んでくれたようです。