35mm換算で105〜525mmという焦点距離を持つAPS-C専用レンズ。このレンズのポイントは、なんといってもそのコンパクトさと写りの良さです。
焦点距離600mmなどの超望遠レンズというと、いわゆるバズーカー型で2〜3kgという超重量級のレンズとなります。技術の進化により軽量化されたライトバズーカーというものも出て来ましたが、それでも1〜2kgあります。
しかし、このレンズはAPS-C専用の設計にし、焦点距離は525mmと少し短くなりますが、なんと 628gという軽量化に成功しています。しかも、手振れ補正内蔵で、Gレンズということもあり、写りの良さにかなり定評があります。
元々、望遠レンズはキットレンズであるSEL55210を持っており、コンパクトさは抜群ですが望遠端210mm(35mm換算315mm)だと少し物足りません。しかもパープルフリンジが結構出たりで画質も今一つでした。そこでより望遠が効き、解像感に定評のあるこのレンズを手に入れることにしました。
スペック比較
キットの望遠レンズSEL55210を持っているので、これと比較します。また、バズーカー型のSEL200600Gも参考としてあげてみます。
メーカー | SONY | SONY | SONY |
レンズ | SEL70350G | SEL55210 | SEL200600G |
発売日 | 2019年10月11日 | 2011年10月14日 | 2019年7月26日 |
サイズ | φ77.0×142.0mm | φ63.8×108.0mm | φ111.5×318.0mm |
重量 | 625g | 345g | 2,115g |
35mm換算 | 105〜525mm | 82.5〜315mm | 300〜900mm |
フィルタ径 | 67mm | 49mm | 95mm |
手ぶれ補正 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 |
F値 | 4.5~6.3 | 4.5~6.3 | 5.6~6.3 |
最短撮影 | 1.1~1.5m | 1.0m | 2.4m |
ストア価格 | ¥108,900 | ¥36,960 | ¥277,750 |
これを見ると、SEL55210のコンパクトさは圧倒的です。またバズーカー型のSEL200600Gはやはりデカく重く、価格も凄いことになっています。
ちなみに SEL200600Gはテレコン(倍率を上げる中間レンズ)に対応しており、SEL14TC(1.4倍)、SEL20TC(2.0倍)を付けると更に高倍率で写すことができます。35mm換算でなんと最大1,800mm。
しかし、 SEL55210とSEL70350Gはテレコンに対応しておらず、大きさによる取り回しや、価格が度外視でき、あくまでも高倍率を最優先するならSEL200600Gの選択になると言えます。
最大1,800mmはより色々なものを撮れるという点で魅力ではありますが、テレコンも購入する必要があり、費用も更にかかってきます。また、使い回しが悪いと絶対使わなくなる自信があるので、SEL200600Gは購入の検討対象から外しています。あくまでもサイズ的な参考として挙げてみました。
SEL70350Gなら標準ズームレンズを2〜3回り大きくした程度で、これだけの焦点距離が得られ、写りも良く、しかも手振れ補正付きです。
レンズ外観&比較
SONY SEL70350G
左:SEL70350G、右:SEL55210
コンパクトとはいえ、キットレンズと比べると流石に2〜3回り大きくなります。
左:SEL70350G、右:SEL55210
直径はこんな感じ。フィルター径:67mm、49mm
ボディと合わせるとこんな感じ。コンパクトとはいえ、標準レンズと比べると大分大きくなります。
画質サンプル
野帳撮影
自宅の窓から野帳撮影。適当に撮りましたがよく解像しています。野帳の知識はほとんど無いので、ネットで調べたところ「ヒヨドリ」のようです。525mmで撮ったものをクロップ。
自宅の隣は丘状になっていて、木々たくさんがあり、鳥が結構集まってきます。自宅バードウォッチングで色々な野帳撮影をするのも面白いかもしれません。
望遠マクロ
望遠レンズの使い方として、圧縮効果や背景ボケを生かした、望遠マクロというのがあります。
大して圧縮効果やボケを生かせてませんが、小物を撮影してみました。
ちなみに、このレンズの数少ない難点として、最短撮影距離が1.1~1.5mと長い点が挙げられます(寄れないレンズ)。SEL30M35という寄れるマクロレンズはあるのでTPOで使い分けることになると思います。
画角サンプル
画角ごとにサンプル撮影してみました。カッコ内は35mm換算の焦点距離。
70mm(105mm)
100mm(150mm)
135mm(202.5mm)
200mm(300mm)
350mm(525mm)
これだけ望遠して、これだけ綺麗に解像することに感動。
画質比較
SEL55210との写りを比較してみます。焦点距離は70mm(105mm)、210mm(315mm)で比較。
Aモード、ISO100、F8、三脚使用。
70mm(105mm)比較
SEL70350Gの広角端70mmで比較。
左:SEL70350G、右:SEL55210
中心画像を比較しましたが、あまり違いが出なかったので、左下の「タワーD」の箇所で比較しました。SEL55210の解像度がやや落ちているのが分かります。70mmでは思った以上にSEL55210も頑張っています。
210mm(315mm)比較
SEL55210の望遠端210mmで比較。
左:SEL70350G、右:SEL55210
中央から少し左下の箇所ですが、圧倒的にSEL70350Gの解像感が優れていることが分かります。SEL55210は歪みも少し出ています。
左:SEL70350G、右:SEL55210
左上のビルの壁の箇所ですが、ここでも圧倒的にSEL70350Gが解像しています。
SEL55210は70mmでは頑張っていましたが、望遠端の210mmになるとSEL70350Gに完敗です。SEL70350GはGレンズだけあって、さすがに写りは良いです。
周辺機器
沢や縦走でこのレンズを持って行くことは少ないと思いますが、α6300の記事にあげた新しいミニ三脚でも安定します。
また、通常の三脚で撮ってみてわかったのですが、レンズ側がどうしても重いので、夜景などは風やシャッターを押した振動などで、ほんの少しレンズブレしやすいことです。三脚固定箇所が重心と離れた箇所であること、小型のクイックシュー雲台QHD-33Qの耐荷重に余裕がないことが要因として考えられます。
そこで、純正ではありませんがサードパーティで以下のような三脚座が販売されています。
せっかくいいレンズを購入したので、これも購入することにしました。カメラ沼おそろしい…
装着するとこんな感じで、かなりしっかりと固定されます。
ボディに付けてミニ三脚に固定するとこんな感じ。固定位置が重心の真下に来る為、ブレが軽減されます。ちなみに、三脚座がなくても、シャッタースピード上げたり、スマホシャッターやタイマー撮影を使うことにより、シャッターブレは回避することもできます。
まとめ
この焦点距離で、このコンパクトさ、そしてこの解像感は素晴らしいに尽きます。これで富士山や剣岳の山頂とか撮れたら素晴らしいだろうなと妄想が膨らみます。これがあれば、雷鳥も大きく撮れます。
今後は登山以外でも写真を撮っていきたいと思っているので、もっといろいろな写真を撮って行きたいです。超望遠となると、撮れる世界がこれまで以上に変わってくるのでとても楽しいです。
ちなみに価格は、ヤフオクで80,000円送料無料。土日限定のゴールドクーポン4,000円を適用し合計76,000で、プロテクトフィルターがおまけで付いていました。ほぼ新品でしたので、フィルター付きであることを考えるといい買い物ができました。
SEL70350Gは新しいレンズなので中古の球数は少なく、値段はあまり落ちていません。カメラショップの中古も検討しましたが、クーポンやおまけを考えるとコスパという点ではヤフオクになります。ただし、状態や保証を気にする場合、カメラショップが無難と思います。
この半年でボディはα6300、レンズはSEL1670Z・SEL1018・SEL70350Gと貧乏性な自分としては、かつてない得ないほどの買い物となりました。しかし、すべて中古で揃えており、中古ならこれ位で揃えることができるという意味も含め、実際の費用も記事にしてきました。
これによって、焦点距離15mm~525mmまでカバーするEマウント・ズームレンズセット(SEL1018、SEL1670Z、SEL70350G)が揃いました。参考までに撮れる画角を並べて見ます。
15mm(超広角)
27mm(広角~標準)
82.5mm(中望遠)
525mm(超望遠)
これで山の楽しみがまた広がります。
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