北アルプス・赤木沢

  • 2020年9月26日

シルバーウィークに夏休みを併用して、黒部の赤木沢に沢登り&釣りに行ってきましたので、今回はこれを記事にします。

これまで記事に上げているのは過去の記録です。仕事が忙しく、この数年山に行く機会が年々減っているからで、山行直後の記事はこれが初めてになります。

黒部の岩魚といえば、源流釣り師としては憧れの釣り場の一つです。また、沢登りで有名な赤木沢もいつか行ってみたいと常々思っていました。これまで黒部川の源流は何回も渡渉していましたが、尾根歩きが目的の為、竿と沢装備は持って行ってませんでした。竿持ってくれば良かったなと、毎回プチ後悔していましたが、今回はいよいよ沢メインでの山行です。

そして折角なので、高天原に行き、温泉にも浸かってやろうという計画です。

日時:2020/9/16(水)~9/20(日) 前夜発3泊4日
経路:折立~太郎平小屋~薬師沢小屋〜黒部川奥ノ廊下〜赤木沢〜赤木岳〜太郎平小屋〜折立
天気:曇り〜雨〜晴れ

※当初は高天原山荘泊の予定でしたが、大雨で停滞せざるを得なかった為、計画変更してます。

今回は全て小屋泊とし、日頃の運動不足を考慮して、荷物を極力少なくします。

1日目

今回は、富山の折立から登山を開始します。

公共交通機関を使って富山に行くには、飛行機、電車、高速バスの3つの手段があります。特に電車は北陸新幹線が2015年に開通したので、これまで以上に富山は身近になりました。東京→富山を新幹線だと、なんと2時間18分で行けてしまいます。しかし、早出したい登山では高速バス(夜行便)が便利です。費用も安く上がり、東京から折立直通便も出ています。

今回は高速バスで富山に入り、電鉄富山で有峰口まで行き、そこから折立まではタクシーで行きました。東京→折立の直通便利用が、移動の手間とコストの観点から最強なのですが、9月の平日はそもそも折立行きのバスがない為、これしか手段がありません。レンタカーも検討しましたが、コストとコース変更の自由度から、今回の場合メリットはありませんでした。

高速バスの中では爆睡です。

2日目

富山駅北口。来る度に駅が進化して新しくなっています。新幹線開通が大きいと思われます。

縦走登山を始めるまでは、車で山に入っていましたが、公共交通機関で入ると、その土地のことが色々と知れて新鮮です。

電鉄富山の有峰口駅。中々に味のある田舎っぷりの駅。ここからはタクシーで折立へ。

折立登山口。太郎平小屋まで標準タイムで5時間です。

暫くは樹林帯の道が続きます。

ハイマツ帯になると、景色が開けます。

太郎平が近くなって来ました。前回来たときはガスで景色がなかったのですが、天気がいいとこんなに開放的です。

途中、薬師岳も見えます。

太郎平小屋着。シルバーウィーク前の平日なので、人が少ないです。

昼食は小屋のラーメン(並)とします。太郎ラーメン(行者ニンニク入)が名物です。

太郎平小屋にある道標、ここから薬師沢小屋まで下ります。標準タイムで2時間15分。

途中、薬師沢を何回か横切ります。

最初は急な下りですが、途中からなだらかな下りになります。

カベッケが原。薬師沢小屋の手前にあり、カッパ伝説の地です。

薬師沢小屋に到着。渓流釣り師の聖地の一つです。

黒部川の水量は少なめ。

なにはともあれ、小屋で買ったビールで乾杯!

日の入りまで時間があったので釣りをしようかと思いましたが、雨が降ってきたので、小屋の中をゆっくり散策することとします。

2階のオープンデッキ。

炊事場。素泊まり(食事なし)の場合に、自炊で利用します。

乾燥室。濡れた衣類をここで乾燥させます。

食事場にある本棚。渓流釣りの本が大量にあります。

就寝スペース。20人位寝れますが、この日は私含め2人しかいませんでした。贅沢にスペースを使わせていただきました。

就寝スペースの窓から薬師沢が望めます。渓流マンにとっては、夢のような眺めです。

夕食。品数が豊富で、しみじみ美味しかったです。
豚肉の煮つけ、パスタ、キャベツ、枝豆、白桃、お蕎麦、煮物(高野豆腐、昆布、カボチャ、絹さや)、味噌汁、ご飯、お茶。

3日目

朝食。日本の正しい朝食です。
焼き鮭、焼き卵、ひじき、クルミの和え物、ウインナー、キャベツ、白桃、味付け海苔、ご飯、味噌汁、お茶。

この日は、赤木沢を目指し、稜線に上がったら黒部五郎小舎に行く予定でした。しかし、昨晩から雨が本降りで、黒部川が増水し濁りも入っていた為、薬師沢小屋で停滞することとしました。

窓から見える薬師沢も濁流と化しています。

昼食。炊事場でベーコン入り塩ラーメンを作ります。
結局、この日は一日中雨が降っていました。

小屋で読んだ本。人それぞれに山との付き合い方がある事を改めて知ります。
この日は本を読みまくります。こんなに本を読むのに時間をかけたのは久しぶり。贅沢な時間を過ごしました。

夕食。昨日の生姜焼きバージョンです。
生姜焼き、パスタ、枝豆、キャベツ、白桃、煮物(高野豆腐、昆布、カボチャ、絹さや)、蕎麦、ご飯、味噌汁、お茶。

4日目

朝食。前日とほぼ同じですが、とても美味。
焼き鮭、焼き卵、ひじき、クルミの和え物、ウインナー、キャベツ、白桃、味付け海苔、ご飯、味噌汁、お茶。

雨は止み、濁りと増水は少し残ってますが、これなら行けます。

奥の廊下(黒部川の最上流部の呼称)の遡行を開始します。これだけの上流域なのに水量が多く流れが太い。そして、堪らなく水が冷たい。

さっと毛鉤を打ちます。初の黒部の岩魚。綺麗な魚体です。

釣りは程々にして、遡行に専念します。

有名な赤木沢出会。

明るい渓の中、綺麗な小滝が続きます。ほとんどの滝が直登出来ます。

赤木沢の岩魚。魚影が濃く、反応も良いです。

こういった穏やかな渓相と小滝が交互に現れる感じです。

綺麗な小滝が続きます。

とにかく明るい沢で、テンション上がります。

稜線が見える沢は、奥多摩や奥秩父では殆どなく、とても気持ち良いです。
これは森林限界を超えた高山にある沢だからだと思います。

晴天が沢のエメラルド・グリーンを照らし出し、森林の色を映えさせます。

こういったナメ滝もあります。

35m大滝。この沢で一番大きい滝です。
高巻きに少し苦労しました。

源頭に近づいていきます。

いよいよ水がなくなります。

振り返ると、赤牛岳と水晶岳が望めます。

沢登りの常ですが、水が枯れてからのツメが疲れました。

なんとか、稜線の縦走路に辿り着きます。

これまで登ってきた赤木沢の谷を振り返ります。
薬師岳・赤牛岳・水晶岳・三俣蓮華岳、黒部五郎岳が見渡せる素晴らしい空間です。

縦走路を歩いていたら、天然記念物の雷鳥とも出会うことができました。

北ノ俣岳。ここから、太郎山までの縦走路の景色がすばらしく、北アルプス奥地の山のオールスターが望める稜線でした。これは予定外のプレゼントでした。

薬師岳

赤牛岳・水晶岳

祖父岳・三俣蓮華岳、手前に雲ノ平。

黒部五郎岳。カールが有名ですが、後ろ側の眺めです。

遠くに槍ヶ岳も見えます。

岐阜側は雲海となっています。

夕暮れの雲海。

無事、太郎平小屋に着き、夕食です。
とんかつ、パスタ、キャベツ、煮物(オクラ・人参・ガンモ)、おしんこ、一口タルト、ご飯、味噌汁、お茶。体動かした後なので、食欲旺盛、飯がうまいです。団欒室で今日の記録整理をした後、爆睡します。

5日目

朝食。日本の正しい朝食。
焼き鮭、ヒジキ、卵焼き、煮豆、小海老佃煮、キャベツ、オレンジ、味付け海苔、ご飯、味噌汁、お茶。

最終日は折立のバスの出発時間まで余裕がある為、ゆっくりを荷物を纏めます。

太郎平小屋にお別れをし下山。

下りの中、薬師岳を望みます。シルバーウィークに入ったので、登ってくる人達の数が半端なく多かったです。

一気に折立まで下りました。太郎平小屋より3時間の道のり。

有峰口より富山電鉄で富山まで向かいます。
車窓を覗くと、剣岳が見えます。富山平野から剣岳が見えるというのを初めて知りました。剣岳は奥山のイメージがあったので少しびっくり。

富山駅でフェスをやっていたので、ビールを飲みプチ観光しながら、お土産を購入。

初じめてなので、富山からは北陸新幹線を使って帰ってきました。

総評

赤木沢は噂に違わぬ美渓で、とにかく明るい沢でした。エメラルド・グリーンに輝く川面、そして思ったより滝が多かったです。釜も深さがあり、岩魚の居つける渓相です。
また、源頭を詰めた後の北アルプスの壮大な風景が素晴らしく、これだけの美渓で、これだけの名山に囲まれれば、それは最高でしょう。

残念だったのは、雨で1日停滞した為、もう一つの目的地であった、高天原に行けなかったことです。また、折立に来る理由ができたと前向きに捉えることとします。小屋で一緒になった人から、岩苔小谷の沢情報を聞けたので、次回来る時のもう一つ楽しみが増えました。